【解説】エビデンスベースドNLP|科学的根拠に乏しいNLPだからこそエビデンスのある使い方を!

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【解説】エビデンスベースドNLP|科学的根拠に乏しいNLPだからこそエビデンスのある使い方を!

科学的根拠に乏しいNLPだからこそエビデンスのある使い方を!




対人援助の実践におけるエビデンスベースドのトレンドは、日本においても無視することのできない
動向になってきています。


科学的根拠に基づくNLPの実践は、良好な人間関係、安定した心理、仕事の成果、自己実現への近道です。
エビデンスベースドとは、「科学的根拠に基づく」という意味です。

心理学では、エビデンスベースドアプローチが当然の世界。
しかし、残念ながらNLPは、エビデンスが乏しいのが事実です。

そこで、心理学の世界のエビデンス(科学的根拠)に沿ってNLPを実践できたら、どれほどNLPの可能性が
広がるのでしょうか?

エビデンスベースドNLPとは?

エビデンスベースドNLPとは、「科学的根拠のあるNLP」のことです。
NLPはこれまで、エビデンスを研究してきませんでした。

NLPを活用したことによって、その後の人生を180度変えるような、素晴らしい変化をもたらした数多くの事例があります。

しかしながら、それらの個別事例の研究だけは、エビデンスとならないのです。
ところで、NLPにおける「科学的根拠」とは、何なのでしょうか?

  • 科学的根拠に基づく医療、EBMがはじまり

科学的根拠に基づく実践(EBP:Evidence-based practice)は、1992年に正式に導入されてから普及した臨床実践のアプローチです。

「科学的根拠に基づく」実践のはじまりは医学における科学的根拠に基づく医療(EBM:evidence-based medicine)です。

  • EBPとは

介入に効果があるかどうかを見極めたうえで、治療法の選択をする臨床をいう。

その「効果」は、「見かけの効果(プラセボ効果、経時変化など)」を排した「真の効果」でなければならない。

  • EBMとは

科学的根拠に基づく医療。

①エビデンス
②患者の価値観
③臨床技能という3つの価値観を統合したもの。

専門家である医師の勘や経験、慣習などから離れ、データのみ注目するのではなく、目の前の患者に対し十分に考慮して、エビデンスが適用可能かを判断すること。

このエビデンスとは、実証データがあればよいというものではなく、「最新・最善」のエビデンスのある実践を行うことを指します。

つまり、質の高いエビデンスを検索し、患者1人1人の状況をよく吟味し、価値観や好みを理解して、エビデンスのある治療を行うことになります。

心理学ではエビデンスに基づく実践があたりまえ

EBMの定義を引き継いで活用したのが、アメリカ心理学協会です。
「心理学におけるエビデンスに基づく実践(EBPP:Evidence-based practice in psychology)」とは、
患者の特性、文化、好みに照らし合わせて、活用できる最善の研究成果を臨床技能と統合することです。

つまり、患者やクライアントの置かれた状況や価値観などを丁寧に把握し、
個別にエビデンスを適用するような治療的協働関係を重視する臨床です。

それは、エビデンス至上主義とは異なるものでエビデンスはあくまで、「患者やクライアントのためにあるもの」としています。

患者がよりよい治療を受けるため、これまで医者が独占してきた臨床判断の拠り所を患者にも解りやすく提供し共有されるためにこそ、エビデンスを使います。

こうしたカウンセリングや心理相談の場面における患者やクライアントとの関わりや支援は「エビデンスに基づくアプローチ」(EBA:Evidence-Based Approach)とも呼ばれます。

エビデンス、科学的根拠に基づく実践は患者やクライアントが、治療から最大の利益を得るためのものです。

NLPにはエビデンスがない

では、NLPにおいては、科学的根拠に基づく実践はどうなっているのでしょうか?
NLPは、そもそも、個別の事情や条件が異なる1つ1つのケースに対応しています。

クライアントの心という全体的なものを見るのではなくその一瞬に起こる「体験」に注目します。

この体験とは、何を感じ、何を考え何をするかといったことです。

クライアント1人1人の状況をよく吟味し価値観や好みを理解するところは、実践できています。

NLPには、科学的根拠に基づく行為をするための土壌があります。

ただ、残念なことにNLPはエビデンスに乏しいのが実情です。

NLPには膨大な個別研究の事例がありますが、事例をいくら集めたとしても
それはエビデンスとなるデータではないとされてきたからです。

データとは、バイアスを排除できるようにデザインされた研究から得られたものをいいます。

ある事例に対して効果があったという「結果」をもって、その効果を支持する
エビデンスとしてはいけないからです。

しかしながら、心理学のエビデンスを見てみると、NLPのテクニックに該当する事例や、NLPのテクニックを取り入れることでさらに効果的になる要素が多数あることが解りました。

また、心理学ではエビデンスに基づく実践とともに、ESTs(経験的に支持された治療)という考え方があります。

それは、誰にも見えない心を扱う学問上、エビデンスだけに囚われるのではなく、ガイドする立場の経験を尊重する立場のことです。

エビデンスベースドプラクティス(EBP)を尊重し、そして、ガイドの経験を加味することで、NLPを実践する効果が
期待できるのです。

心理学の世界のエビデンスをNLPへ

人を変化させる4つの要因

臨床心理学者のランバートは、心理学における「カウンセリングや心理療法の効果は何によるものか」を研究し、
セラピストがクライアントを変容させる割合を、以下のように提唱しています

  • 治療外要因:40%
  • 人間関係:30%
  • テクニック:15%
  • 期待:15%

効果が低い順に要因を見ていきましょう。

そして、このエビデンスをNLPに活用する場合を考えてみます。

期待が15%

この「期待」とは治療を受けたことによって、きっとよくなるであろうという「プラセボ効果」のことです。

クライアント自身が、自分の問題を過去の家族との関係にあると信じていれば、それを尊重すること。

クライアント自身が、過去は終わったことだから未来のことを考えたいと訴えていれば、それを尊重する姿勢のことです。

エビデンスベースドの観点からは、プラセボ効果を排した効果を測定します。

テクニックが15%

この「テクニック」とは、どの問題に対して、どの介入が効果的であるかを正確に答えられることでもあります。

これは特異要因とも呼ばれ、各治療流派に特有なテクニックの影響を表しています。

「期待」や「治療外要因」「人間関係」が共通要因と呼ばれ、立場の違いにかかわらずすべての心理療法に共通して当てはまるとされるのに対しテクニックのみが特異要因の扱いとなります。

そしてこれはNLPにおいても同じことが言えます。

クライアントに直接的に行う介入テクニックは、然るべきタイミングで然るべき方法を選択できていた場合には、およそ15%の効果を期待できるということになります。

①超重要!クライアントの状態を変えるテクニックならNLPは得意

人間とは誰でも自分の体験した出来事に意味づけ(ラベリング)を行います。

A(出来事)だからB(意味づける)という構造をNLPでは、等価の複合観念といいます。

本来は異なるものであるAとBが同一であるかのように表現することです。

例えば、「この仕事にこんなに時間が掛かってしまうのは、自分には技術がないからだ」と思っている人がいたとします。

でも、『仕事に時間が掛かる』と『自分に技術がない』ということは必ずしもイコールではありません。

丁寧に物事を進めているだけかもしれないし、周りの期待に応えたくて、それに掛ける時間を短く見積もっているかもしれないし、単に自分の気持ちが乗らないだけかもしれないわけです。

NLPでは、他の解釈や選択肢があることをクライアントに気付かせることができます。
また、よりよい方向になるように、AだからCだと同一視さ、意識がシフトすることを誘発させることができます。

クライアントが望ましいとする状態にフォーカスすることができるのです。
「仕事に時間が掛かったが、丁寧にやることで、やり直しを防ぐことができた」「私は、次はもっと効率よく仕事を行いたいという向上心に溢れている」

こんな風に思うことができたら、「この仕事にこんなに時間が掛かってしまうのは、自分には技術がないからだ」と自分を責めていたときとは、心の状態は変わってきます。

どこに意識を向けるかで、状態は簡単に変えることができます。
NLPには、クライアントの状態を変えるテクニックが多数あります。

②適正処遇交互作用

適正処遇交互作用(ATI:Aptitude Treatment Interaction)は、教育心理学者のクロンバックが提唱した概念です。
適性は学習者の個人差、処遇は学習方法や指導方法のことです。

言い換えると、「学習者の適正に適した教授方法(処遇)を採らなければ、最大の学習効果を上げることはできない」とするという考え方です。

学習者の適正とは、既有知識、興味、意欲、性格、態度などを指し教授法とは指導の手法・課題の出し方、カリキュラム、学習環境などを指します。

クライアントにはそれぞれ個性があり1人1人に適した方法をとることは、変化の促進へとつながります。

どの問題に対して、どの介入が効果があるかを適切に判断することは、治療効果にも影響を及ぼします。

人間関係が30%

この「人間関係」とはクライアントとセラピストが相互尊重に基づいた受容的で温かい関係を築くことです。
治療関係とも呼ばれます。

心理療法における人間関係には、2種類のタイプがあります。

  • 治療初期に生じるもので、セラピストの共感的で支持的な
    態度にクライアントが抱く被受容感や安心感に基づくもの
  • 治療が進むにつれて、問題を克服するために
    クライアントとセラピストとの間に生じる相互信頼や協働意識に基づくもの

①相互信頼:相手に合わせるテクニックならNLPは得意

NLPでは、相手とよりよい人間関係を築くためのテクニックとして、ラポールを学びます。

ラポールとは、日本でいうと信頼関係という意味です。
相手とのコミュニケーションの大前提は、信頼関係を築くことにあるからです。

ラポールを築くためのテクニックとして、NLP では以下のテクニックをお伝えしています。

  • ペーシング
  • ミラーリング
  • バックトラッキング
  • 傾聴
  • 自己重要感を満たす

②共労意識

クライアントが本当に望ましいとするゴールに向かい、NLPコーチ(ガイド役)とクライアントがお互いに協力しあえるかどうかが、成功を左右します。

クライアントは、心の中で起こっていることをコーチに話します。
コーチとクライアントが相互に確認をとりながら面談を進め、どんなことを解決したいのかを確認していきます。

そして、課題達成や問題解決などのためには、クライアントの中にある答えをコーチが見出し積極的にその決定を促します。

お互いが主体的に協力しあい、2人3脚のように協働するそのようなパートナーシップが求められるのです

治癒外要因が40%

4つのうち、もっとも影響が大きいのが「治癒外要因」です。

これは、治療とは関係ないところで生じた変化、
例えば、「会社の業績が上がった」「夫婦関係がよくなった」「友達がサポートしてくれた」などが、
クライアントの改善にもっとも影響力を持つということを意味します。

この治療外要因に対しても、私たちは介入することができます。

刺激統制やソーシャルサポート、対人スキルを向上させるなど、治療外要因を望ましい方向へと導くことができるはずです。

①変容段階

行動の変容段階のモデルおいて人が行動を変える場合は、「無関心期」→「関心期」→「準備期」→「実行期」→「維持期」の5つのステージを通ると考えます。

例えば、運動習慣を例に考えてみましょう

  • 無関心期
    運動する気持ちは全くない状態。

    周りが何と言おうと全く興味はなく、今のライフスタイルのままがいい。
  • 関心期
    運動した方がいいのは解っているが、
    実行する意志まではない状態。
  • 準備期
    ある日、運動をしてみたら気持ちがよくて、
    これなら定期的にやってもいいかと思っている状態。
  • 実行期
    とりあえず自分ができる範囲での目標を決めて、週1回でスタート。

    行動変容は見られるものの持続する自信はなく、不安を感じている。
  • 維持期
    週1回は継続でき、それによって体脂肪が減り、
    具体的な効果も感じている。持続に対して自信がある状態。


②変容段階に合わせたアプローチが必要

変容段階をひとつでも先に進むには、その人が今どのステージにいるかを把握し、
それぞれのステージに合わせた働きかけが必要となってきます。

こちらに対しても、NLPのテクニックを使って、段階に合わせた介入が可能です。

  • 無関心期
    行動変容の必要性を正しく理解してもらい、
    関心を持ってもらう援助が必要。ティーチングの段階。
  • 関心期
    相手の話を傾聴しながら、受容的・共感的に接して、信頼関係を築いていく。

    行動変容の具体的な方法や過程について正しく理解してもらい、状態をポジティブに変化させ、望ましい未来をイメージさせる。
  • 準備期
    自己効力感を高めてもらいながら、実行に移してもらう。
  • 実行期
    自己効力感を高めて、継続してもらう。
  • 維持期
    これまでの努力を賞賛する。

③変化できるクライアントとは?

行動の変容段階は、時間的な経過で、各ステージに分類されることもありますが、気持ちの変化が連動しなければ、
次のステージに進むことは難しいと考えられています。

時間の経過よりも、本人の意識と行動が、ステージをアセスメントする上でポイントとなります。

つまり、自分自身の人生に変化を起こすことを望み、深くかかわることができるクライアントが変容できるようになるのです。

さらに、信頼と好意を寄せ、協働できると感じる相手と会うならば、そのクライアントは、自身のゴールに向けて
様々な技法と実践を活用することができるでしょう。

NLPの基礎的なテクニックが応用可

NLPには、エビデンスがないかもしれません。
しかし、このように、心理学の世界のエビデンスは、十分に応用できるものであり、NLPの効果を裏付けし、その効果を高める使い方を示してくれるのです。

エビデンスをNLPの前提に

最新・最善のエビデンスを

冒頭でも説明しましたが、エビデンスとは、「最新・最善」のデータのことを言います。
ここ数年で、世の中の情勢が大きく変わり、私たちの認識にも大きな変化があったのではないでしょうか?

世界が変化する速度が上がり続けている昨今、新たな文化、新たな習慣がどんどん生まれています。

そのような環境の中で、エビデンスベースドNLPとして、「最新・最善」をお伝えできるのは、私たち日本NLPアカデミーのNLPトレーナーが、常にアップデートされたNLPを学び続けているからです。

エビデンスベースドNLPは、どのNLPスクールでもお伝えできるものではないのです。

自分の技術を研き、経験から学び続ける

エビデンスベースドNLPはクライアントに対して、効果を高めるだけではありません。
あなたのNLPの学びを加速させます。

これまでは、クライアントに向き合いつつも、手探りの状態でNLPのテクニックを投げかけていたという方も多いのではないでしょうか?

エビデンスベースドNLPでは、どんな効果を狙い、クライアントのどこにアプローチすべきなのかを明確にすることができます。

ボールを投げるべき的(マト)がはっきりするのです。

また、クライアントの状態に応じて今すべきことも見えてくるでしょう。
的(マト)がはっきりすることであなたは、そのときの思いつきで、やってみたという状況から脱却し狙いを定めてNLPのテクニックを使うことになります。

偶発的ではない行動は、簡単に反復が可能です。
フィードバックも生きてくることでしょう。

エビデンスベースドNLPは、あなたの技術を研き、経験から更に学びを深めることに、大きな効果をもたらします。

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https://www.nlpjapan.jp/evidence-based-nlp/

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著者プロフィール 椎名規夫(公認心理師、NLPトレーナー)

一般財団法人日本コミュニケーショントレーナー協会 代表理事
NLP創始者リチャード・バンドラー米国NLP協会認定NLPトレーナー
経歴:社団法人取手青年会議所 1999年理事長

1961年生まれ。茨城県取手市出身。

「変われなければ心理学ではない!」をスローガンに、心理の国家資格『公認心理師』の知識を活かして、日本で唯一、科学的根拠のある心理学をベースにしたNLPを提供。

NLPは切れ味鋭いスキル!その反面、NLPは科学的根拠に乏しいのが実情。だから、正しくNLPを使うと成果に繋がる反面、誤って使うと自分とまわりを傷つけてしまう結果に!

エビデンスベースド(科学的根拠のある)NLPこそが人生100年時代に役立つスキルと確信してトレーニングを実施している。

  • 総務省 「コミュニケーションの基礎に関する研修」
  • 全国6万社が加盟する厚生労働省の労働基準局所管特別民間法人『中央労働災害防止協会』にてコミュニケーション技術力研修担当10年以上
  • 労働基準監督官(国家公務員)合同研修でメンタルトレーニング・コミュニケーション技術担当
  • 独立行政法人教職員支援機構にて全国の小・中、高等学校の教員向けコーチング講座担当など
椎名規夫トレーナー

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